フジロック備忘録:1

フジロック(Fuji Rock Festival '19)から1カ月が経った。


あの貴重な経験を、記憶が残っているうちに記しておきたい。ってな書き方をすると、徐々に記憶を失っていく病気にかかってしまったみたいだけど、おれは至って健康です。


いいか。これは旅の記録であり、備忘録だ。



7月25日、木曜日。18時で仕事を切り上げ自宅でシャワーを浴びる。いよいよ出発だ。集合は倉敷駅の北口、21時。忘れ物はないか?おれは持っていく荷物を全て玄関手前のドアに立てかけておいた。手荷物はコロンビアの40リットル入るバックパックひとつだ。後はディーゼルのポイントで貰ったチェアだな。タダとはいえ10万円分のポイントで貰えるアイテムだから、大して好きでもないディーゼルに10万円も使ってしまった己に思う所がないわけではない。どうでもいいけどディーゼルってモノの割には高いよな。


ともかく荷物はそれだけだ。夢と希望とお菓子と着替えでパンパンになったバックパックを背負い、倉敷駅に向かった。時刻は午後8時。岡山駅は仕事帰りのサラリーマンでごった返している。まだ木曜日だ。ふふ、みんな死んだ魚の眼をしていやがるぜ。おれは4連休。そしてこれから向かうのは倉敷……ではない、新潟県の苗場スキー場なのだ。


得意げに倉敷の改札口を出てから気付いた。……イス、忘れたな。ディーゼルのそれは4日後、無惨にも玄関の靴箱の脇で冷たく横たわった状態で発見された。フジロックで立ちっぱなしはキツイ。記念すべきやらかし「その1」であった。すぐさま今回のツアーコンダクターを務めるユウシ君に連絡すると、コーナンで1,600円ぐらいのイスを買ってきてくれた。さすが頼りになるぜ。デザインは値段なりにダサいが大きくて使い勝手もよさそうだ。これだよ、こういうのでいいんだよ。なんなんだよディーゼルって。パリピのイキりか。


程なくしてハイエースが到着した。そう、この旅はレンタカーを借りて行く男女8人夏物語なのだ。hoshiotoのユウシ君、それにOZからイザキョウ、マツバラ師匠、トガちゃん。後はおれがVJとして参加しているジュースのREDさん、師匠の妹ミドリさん、福井から乗り込むユウコさん、そんでおれ。なんとOZはバンドメンバーの3/4が参加。どんだけ仲良しなんだ。奇しくも福山シューゲイザー・バンドシーンの重鎮が集結してしまった感がある。おれは緊張で水も喉を通らない。直立不動、最敬礼で皆さま方に「本日ハ、何卒ヨロシクオネガイモウシアゲマス!」とコメつきバッタの様に頭を下げまくった。


荷物を積み込み「ライドーン!」の掛け声とともにいざ出発。まずは高速をひた走り、ユウコさんの待つ福井へ向かう。そこから日本海側を走りつつ苗場へ。イチ・ニ・サーンを待たずに13時間の長旅の始まり。おれはここでまた大変なミスに気付いてしまった。全ての荷物をバックパックに入れてしまった為、遠足のおやつを取り出せないのだ。ああ、クッピーラムネが食べてえなぁ……と思いながら唇を噛み、涙をこらえて空腹をしのいだ。


この旅をガイドしてくれる運転手は3名。ユウシ君とマツバラ師匠とREDさんだ。いずれもフジロックの達人であり、マツバラさんに至ってはもう呼び名からして「師匠」である。実は、この師匠が一番道を間違えるらしいのだが、おれたちはもう、まな板の上の鯉だった。後ろから前からどうぞ~♪(歌のチョイスを間違えました)


正直、福井までの事はよく覚えていないのだ。空腹で気絶していたのかもしれない。虚ろな意識の中でユウシ君の注意事項が耳に残っている。「キュアーをあんまDISってると、師匠が怒るで!」正直キュアーは別にどうでもいいと思っていたおれは失言が怖くて生きた心地がしなかった。しかし、それは置いとくとしてまずは1日目のヘッドライナー、ケミカル・ブラザーズだろう。悪い事に裏ではトム・ヨークが演る予定になっていた。ミクニーズ的にはこの2組、外せない感じではあり、どちらを観にいくかで車内は喧々諤々となった。結局トム・ヨーク信者のイザキョウ以外は全員がケミカルに行くという顛末になった。愛ゆえにトム・ヨークのソロというイバラの道を選んだキョウコさんにはキャベツ太郎をあげたい。カバンから取り出せないけど。だからあげてないけど。


とにかく福井でユウコさんが合流し、8人組の即席クルー「ミクニーズ」が結集した。さあ、おれたちの旅はこれからだ!今まで応援ありがとうございました。コウヘイ先生の次回作にご期待ください!


……まだちょっとだけ続くんじゃよ。


日本海のサンライズを眺めながら、ハイエースは苗場へ。どこかのサービスエリアで小休憩を取り、ラストはユウシ君がドライバー、おれがナビを務める事になった。おれたちは15年来の付き合いなりのおとぼけ具合を存分に発揮し、新潟県に入ってから早くもテンションがゲージMAXに突入、なぜかTMネットワークを二人で合唱した。しかも木根曲中心に、だ。もちろん彼らは出演しない。ミクニーズではナビの人間が車内DJ&MCをやる事になっている。つまり全てはおれの所業だった。目的地の宿「三国屋」に辿り着く直前、DJコウヘイがかけた最後の曲は、DA PUMPの「USA」だった。もちろん彼らも出演しない。


長い旅が終わり、長い祭りが始まる。


#Fujirockfestival2019

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