今年のベスト10曲

最終更新: 2018年12月29日

今年リリースされた楽曲の中からベスト10曲を選んでみた。需要どこにあんねん、そういうのは個人のブログでやれや、と言われそうだが、そうだ。ここは個人のブログでありました。


今年のベスト10曲 #1


Bob Moses / Battle Lines

カナダ出身LA拠点で活動するエレクトロデュオ、ボブ・モーゼス。こういう淡々としたリズムでちょいダサ美メロ曲に弱いんだね。しっかりギターソロも入っていて、そういう構成・展開の仕方がUSっぽい。これが2018年の音なのかっていうぐらい平凡で、だけど安心できる。つまり長く聴いていられる良作。Battle Linesという直球タイトルは“僕ら自身の中での闘い、社会との、また社会の中での闘い、愛する人との闘い、イデオロギー間での闘い”との事。MVはちょっと意味わかんない。


今年のベスト10曲 #2 City Your City / chain


地方都市に住む者としてはちょっと気後れするぐらいアーバンで、トロピカルな最新型シティポップ。ああ、日本語のPOPSでもここまでフロウを音に溶け込ませられるんだ、という絶妙なミックス。ループの気持ちよさ。エレクトロニカやアンビエント、R&B、UKインディーなどのエッセンスを感じながらも、アウトプットとして出てくる音の発想が自由で「これが若さか……」と遠い目をしてしまう。こういう楽曲がJ-POPのスタンダードになってくれたら、世界でも戦えるんじゃないか。まあ、そこと戦う必要があるかどうかは知らんけど。


今年のベスト10曲 #3 XXXTENTACION / changes


6月に射殺された20歳のラッパー&シンガーにして悪童、XXXテンタシオン。夭折バイアスがかかってるかもだけど2ndアルバム『?』はやっぱり名作だと思うんだよ。中でもこの曲。美メロを単調なループで聴かせるセンスはラッパーならでは。本人はガールフレンドへの監禁・暴行などで逮捕されている訳だけれども、変わろうとしていた途上だったんだろうと思いたい(信じてはいない)。ただ、そのチェンジを現実のものにする前に、強盗に遭い無念の死を遂げた。抗争との噂もあったが真相は闇の中。銃社会アメリカの悲劇再び。R.I.P.


今年のベスト10曲 #4 Kamasi Washington / Street Fighter Mas


見覚えあるタイトルはリュウとかケンとかガイルが殴り合いをするアレ。曲調は「21世紀の特捜最前線」。ふざけてんのかと思いきや、本人大マジメ。そしてめちゃカッコいい。去年「Truth」という宇宙的大作をリリースし、ちょっとは落ち着くのかと思ったら、今度は大地を感じさせる土っぽい作風に。スピリチュアル・ジャズとか言われているけれども、即興的ではなくかなり構成が練られていて、ロック畑の自分が聴いても飽きない。プロゲーマーになるはずが間違ってミュージシャンになっちゃったカマシは今年も絶好調。最高。


今年のベスト10曲 #5


Febb as Young Mason / SLAY (Prod. Chaki Zulu)


またまた故人で申し訳ないがFebbとChaki Zulu。若き天才2人が組んだ幻のトラック。たぶん正式にはリリースされていない、はず。個人的には日本の若いラッパーで最も才能があると思っていただけに残念だ。トラックメーカーとしての才能も抜群だった。ただ、そんな才能ある人材がそれに見合う評価をされていたか、されていたら違う道もあったかもしれないと思うと複雑だ。SLAYは「殺す」の意。Febbは何を殺したかったのか?自分かもしれない。2018年ベスト・ラップ。24歳。R.I.P.



今年のベスト10曲 #6


Blood Orange / Dagenham Dream


UK発のアンビエント・ソウル。1ヴァースのループ、80年代チックなドラムにグネッと曲がるシンセ音が今風。緩くて甘めのトラック。全部は理解できないがリリックの内容はビターで切ない。過去に手酷い仕打ちを受けたような描写があるけれど、それは彼が移民の子で、黒人だからなのか?この曲が収録されているアルバムのタイトルは「ニグロ・スワン」。社会への失望を表しつつ、それでも僅かな希望を見出す。2018ってそんな年よね。



今年のベスト10曲 #7


Matisse & Sadko, Raiden / Light Me Up


おれ世代だとノれそうでノれないのがEDM。ああ、わかってる。でもなんていうのかな、これを聴いてると胸をギュッと締め付けられるんだよね。愛しさと切なさと心強さと。派手なシンセ音、高揚するメロディ、メリハリのきいたリズム、わかりやすく前向きな曲名。まあEDMって大体こんな感じなんだけどさ。要するにダンス歌謡曲。難しく考える必要はない。頭からっぽにして踊ろう。午前1時ごろのフロア。



今年のベスト10曲 #8

Homecomings / Blue Hour


このバンド、トガちゃん(OZのドラムス)に猛プッシュされたんだっけな。邦楽インディー疎いので勉強中であります。もともと英語の歌詞で唄っているバンドなんだね。そっちは正直おれ好みじゃなかった。発音が、なんかね。「そこがいいのに!」と言われてしまいそうだけど、おれはあくまで英語ならフロウ優先。いいじゃん日本語。淡々ビートがおれ好み。なんとなくモラトリアム。世界の情勢と切り離された、何時もどこにでもある「僕ら」の話。海に行きたい。今じゃない。夏に。


今年のベスト10曲 #9


Moby / A Dark Cloud Is Coming


タイトルで攻めているモービーさん。新作アルバムでは完全に「怒」モード。何に?そらトランプと新自由主義にでしょう。過去には大統領就任パーティーを断ったどころか、それを皮肉るプレイリストを公開するなど生粋のパンク人。けれども、その作風は至って静謐でアンビエント。感情のアウトプットが多彩なのがこの人のいい所。まさにアーティスト。この曲の感想は、そうね。こんな混沌とした世界だけど、本当は美しい場所なんだぜ……って所かな。本人的にはどうか知らんけど。ただただ美しい。



今年のベスト10曲 #10


Febb as Young Mason / Dream


Febbの没後、HDに残されていたトラックを音源化したものらしい。つまり未完成かもしれないという事だ。ラッパー&トラックメイカーとして非凡な才能を見せたFebb、しかしこのナンバーはインストだ。これにラップが乗って完成だったのか?おれはそうは思わない。このトラックはこれで完成されている。2018年最も美しいサンプリング・ループ。元ネタはEDM。あの独特のトゲトゲしいサウンドをサンプリングでまるくして、切ないシーケンスに落とし込んだ。これがセンス。

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2017年はトランプ政権誕生、ブレグジット合意とUS・UKの音楽2大国家で危機感がピークに達していた。それを受けてだろうか。移民2世や黒人を中心にシリアスでメッセージ性の強い、それでいて音楽的にも素晴らしい作品が多かったように思う。

翻って2018年は大作というよりは佳作傾向。おれが好んで聴くようなアーティストは特に世界情勢と曲がリンクしていて、そういう意味では混乱の真っ只中にあっても落ち着きを取り戻そうとしているように見える。2019年は、より混迷を極めるか、それとも秩序に向かっていくか。 世界が不安定な動きを見せた時、音楽は大きな力を持つ。それは歴史が証明してきた。ただ、音楽の力で世界を変えることは出来ない。音楽はただそこにあって、何かを訴えかけるだけだ。

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